電子ピアノの上手な選び方

同時発音数は多い方がいい?

電子ピアノのカタログを見ていると、仕様として「最大同時発音数」という項目の記載があることに気がつきませんか?

現在のモデルでは、少なくとも64音の同時発音数が確保されていて、最上位モデルの電子ピアノになるとその数は256音にもなります。

この「同時発音数」が、文字通り「鍵盤を弾いた時に同時に出せる音の数」なのであれば、電子ピアノの鍵盤数は最大で88鍵なんだから、同時発音数だって88が最大になるんじゃないの?って疑問に思う人もいるのではないでしょうか。

そもそも、一度に88鍵すべてを弾くようなことがあるのかと言ったら、とても考えにくい状況でしょう。

実は同時発音数は、同時に鍵盤を押して音を出すことができる数のことではないんです。

電子ピアノは、鍵盤の1つを弾いた時に左右2つのスピーカーから音が出るため、2音発していることになるんです。
つまり、弾いた鍵盤の数×2が発音数になるということです。

さらに、ダンパーペダルを使うと鍵盤から指を離しても音が伸ばせるので、いくつもの音を重ねることができますが、その余韻の音も発音数として加算されます。

では、同時発音数が少なかった場合、弾いていてどうなるのでしょうか?

もし最大数を超えた場合、それまでダンパーペダルによって伸びていた最初に弾いた1音めがふっと消えます。(消え方については各メーカーが工夫を凝らしているので、音が消えていく違和感に気づく耳のよい人もいれば気がつかない人もいます)

難易度の低い曲であれば、それほどたくさんの音を同時に弾くようなことはないので問題ありませんが、難しい曲になれば鳴らす音の数は確実に増えますし、ダンパーペダルも頻繁に使うことになるでしょう。

たとえば最大同時発音数が128音の電子ピアノで、ショパンの幻想即興曲やテンポの速いエチュードを弾くと、音が足りなくなるようです。

音が消える問題は、ダンパーペダルを頻繁に使用するテンポの速い楽曲で顕著に表れます。

同時発音数が多く必要なのは、そういった理由からなんです。

もちろん同時発音数は多いにこしたことはありませんが、初心者から中級者までなら64~128音ほどあれば、通常の演奏で違和感を感じるようなことはあまりないと思います。

当然のことながら、間違えたり外して弾いてしまった音も同時発音数として数えられ、外した分だけ音は濁っていきます。

ミスタッチが多いと、聴くに耐えない響きになってしまうかもしれませんが、同時発音数が少ない電子ピアノの場合、ミスタッチをしても早い段階で音の濁りが自動的に消えていってしまいます。

そのため、音が濁っていても気にせずにペダルを踏み続けることができてしまうので、そういう意味ではあまり練習にならないかもしれません。

そう考えると、ピアノを練習中の人ほど、ミスタッチによって充分に音が濁る電子ピアノ(同時発音数の多い機種)を使った方が良いともいえるでしょう。

一方、すでに上手に弾ける人にとっては、同時発音数が少ない電子ピアノであっても、それほど問題なくきれいな演奏が可能ともいえますね。